点と線の思考
(天声人語)闇バイトと実行役
バイト募集に応じたところ、通されたのは大学の研究室だった。隣室に別の人がいる。その人に記憶のテストをし、誤答ならスイッチを押す。簡単な仕事だ。ビリッと電気が流れ、間違えるたびに電圧は上がる。そのうち隣はうめき出し、「ここから出してくれ」と苦悶(くもん)の絶叫をあげる。だが続ける・・・・・事件の実行犯だって葛藤する瞬間はありだろう。引き返すのはその時だ。決意すれば、抜けられる。
https://www.asahi.com/articles/DA3S16064702.html
若者の闇バイトのニュースが連日報道されている。今朝のコラムは、「引き返すのはその時だ。決意すれば、抜けられる。」と締める。今の時点で言える最善の言葉はこんな感じだろうか。線で考えると闇バイトに引き寄せられる若者たちには複雑な背景があり、それは現代の若者を取り巻く構造的なものがあるのかもしれない。もし、そこが問題の原因だったら・・・それを理解したうえで、今の時点で言えることは、この言葉だろうかと考えてしまった。最近、よくこういう似たような会話、話がかみ合っていないことに遭遇する。だいたい点と線の会話が原因のように感じる。