鼻腔くすぐる絵画(8)池田遙邨「朧夜」

「日本における懐かしい匂いは何か」という調査があった。回答は千差万別で、共通点を見いだすことは難しかった。その中で「金木犀(きんもくせい)」「みかん」「ベビーパウダー」などの回答が多かった。人それぞれがもつ懐かしい匂いの記憶が存在する。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83048300X20C24A8BC8000

わたしは、春先の田植えを待つ田んぼやつくしが芽を出したあぜ道や土手からでる独特の春の匂いかな。東北大震災のときに実家にしばらく避難したとき、そういう時期に実家に帰省することなどなかったので、子どものころ以来かな。外は、穏やかな陽気で春めいていて、田植えをまつ水をはった田んぼやいろいろな草花が春に向けて芽吹き始めたあぜ道や土手からは、何とも言えない春の匂い・・・子どものころは毎年味わっていたあの匂い。快適なにおいではないが、でも、その匂いに触れると春を感じた。あの時の衝撃というか、あー春ってこんな匂いだったと、記憶が鮮明によみがえったことは、今でも覚えています。あと、子どもが自転車にのっていて、あぜ道から田んぼに落ちたのは、今ではいい思い出です(笑)