<コラム 筆洗>字は正確、書くのも早いが、決してうまい筆ではない-。これが…

字は正確、書くのも早いが、決してうまい筆ではない-。これが当時の評価だそうだ。半分ほめられ、半分けなされる筆の主はどなたかといえば鎌倉時代を代表する歌人、藤原定家である▼なんでも、自分でもあまりうまい字とは思っていなかったようで、自分の字を「鬼」とまで評していたという▼その定家の書風が室町末期から江戸時代にかけて「定家様(ていかよう)」として評判になる。当時の人には親しみやすく味のある筆に映ったようで、徳川家康や大名茶人の小堀遠州も「定家様」を使ったというから、今でいう人気の「フォント」だったのだろう▼見つかった書は定家の直筆であると判断できたそうだ。定家につながる冷泉家(京都市)が保管していた古今和歌集の注釈書「顕注密勘」の原本である。1221年にまとめられたというから、ざっと800年前の書が大切に継承されてきたことがありがたい。同じ書の写本が重要文化財に指定されているから原本となればその価値は国宝級か▼「定家様」の魅力は一字一字が明確で堂々としていることだそうだ。かなの連綿も少ない。発見された書の写真にも、その特徴が見て取れる▼定家がこうした字を使いだしたのは読みやすさ、写しやすさのためではないかという説がある。とすれば、後に読む人のことを思っての心やさしき筆跡か。見つかった書も、後の人の大切な宝となる。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/322573

数日前、藤原定家の自筆書が、見つかったニュースが、各新聞で報道されていた。その書の写真を見て、なんともまるっこい、古筆かなのお手本と言われている高野切とは、似ても似つかぬ作風に驚いていたところでした。有名歌人の字ってこんな感じなんだなと。

東京新聞のコラムによると、藤原定家の字って、本人も下手と思っていたらしい。しかし、後世では、その下手な字が、藤原定家の字として愛され好まれていたようで、後世に伝えられてきたみたい。そう考えると、美しいと言われる字、愛される字、有名人が書いた字、それぞれ人それぞれ好みなんだろうなと思う。そう考えると、私が取り組んでいる書道って・・・・有名人ではないので有名人の字は完全にないことなので、まずは、美しい字になれるように臨書にいそしみ、その先に愛される字を目指すことになるのかな・・・